お菓子やベーグルの立ち位置

去年くらいから、自分の作るお菓子とベーグルの立ち位置というか、基準が決まってきた。これは最近地元のお店で何かを食べるたびに「やっぱりこの方向でいいよな」と何度も思わされることで、同時にそんな地元のお店から励まされてもいる。「みんな、それぞれの基準があり、日々それをクリアした品質のものを作ってるんだな」というのが、食べてるとビシビシ伝わってくるのだ。消費者の中で自分たちの提供するものがどうあるべきかを明確にわかってるところは味に迷いがない。「ここの基準は絶対に譲らないぞ」というのは食べると伝わってくる感じがするし、目標とするところもなんとなく見える気がするし、それがあると私も燃える。

私の加工品(お菓子・パン・お茶)の立ち位置はこんな感じ。

<立ち位置>
1. ちょっとしたご褒美として見合うもの

2. 季節と地域性の強いもの

3. 意外なもの(私にしか作れないようなもの)

<説明>

  1. ちょっとしたご褒美として見合うもの
    私のお菓子は原材料も手間暇も結構かかってるので、下手に安くすると継続できない。なのでその分、食べた時の満足度は高くして、「あ〜食べられてよかったなあ〜」と思ってもらえるものを作る。買う人の毎日の生活を支えるものというよりも、週末に日々生きてることをねぎらうものでありたい。(もちろん毎日買ってもらえたらそれほどありがたいことはないんだけど。)
    なので、「ちょっとしたご褒美」として見合うだけの品質は保っていきたいし、その辺は誠実・真摯でありたい。相手に嘘をつかない、そして相手と真面目に向き合えるだけの内容と値段っていうのが一番大切かなと思う。

  2. 季節と地域性の強いもの
    マフィンを売り始めた時は、同じ味のものを作り続けていたら結構飽きてしまっていた。「いつでも同じものがある安定感」もいいけど、私の場合は同じものを作り続けると飽きるので、できなかった。たぶん職人気質だからだと思う。逆に、季節の果物や、地元の産業を生かしたもの、その時々の催し物に合わせて作るお菓子は想像力も膨らんで楽しく、「次はこうしよう!」と工夫を考え続けられて飽きない。果物の場合は、飽きたくらいに旬が終わり始めるので、強制的に思考や行動を移行せざるを得ない。それが助かるし、気持ちの鮮度を保つためにかなり役立っている。

  3. 意外なもの(私にしか作れないようなもの)
    2にも共通するんだけど、地球ベーグルとかフカネガとか、自分しか作れないようなものを作ると気持ちの鮮度が保てる。そして気持ちの鮮度は商品に出る。
    意外なものを作ってみんなを驚かせたり、ちょっとした笑いや驚きや日々の生活への刺激になればいいなと思っている。お菓子を一つの食される芸術作品(商品)として考えるとかなり楽しく、完成した作品を納品できるのはありがたいことだなと思う。

 

一つの商品を作った時、同じ商品でもある人には「高い」「ふーん」的な反応をされ、またある人には「安い!」「めっっっちゃうまい!」と言ってもらえる。(ありがたい。)
個人でやってると指標が自分しかないので、商品の内容とか値段設定でかなり迷う時がある。でも、2017年から売り始めたので、さすがにそろそろ自分の中での基準ができてきた。逆にいうと始めて3年は基準や実績がないため、価値基準が不安定でかなり不安でもあった。人から意見や助言をされても、先述のように人によって全然意見が違うので(しかも言ってる本人たちはそれぞれの正義の元に言ってるので)、その度に迷う。

あと、私はお菓子とパン作りは割と好きだけど、料理は自分で食べる用なんだな……とも思う。人によっては「お菓子作りはテンション上がんないなー」という人も多いので、分野の好きずきや向き不向きは本当にあると思う。料理分野は料理が好きな人に任せたい。

4年も続けると色々感覚変わってくるし、自分の性格がわかるようになるもんだなあ。とりあえず今後も真摯で誠実でありたい。