アムドッパレが食いてえ

あけましておめでとうございます。

さて、新年最初に見た映画はこちらでした。

ひょんな出会いからこの映画のことを知り、そのまま拝見することに。
主人公の女性・ラモツォは教育を受けたことがないため文字の読み書きできないのですが、代わりに旅の途上をビデオカメラに記録していました。本作はそれを軸にしたドキュメンタリーです。
ラモツォの義父母や子どもたちのそのままの立ち振る舞いが、静かに胸を締め付けて上映中何度も泣いてしまいました。
劇的な抑揚はないものの、ありのままの感情の吐露ほど強いものはないんじゃないかと思います。

さて、本作冒頭に出て来る、ラモツォが焼いているパン! これがおいしそうでおいしそうで、上映中から「家に帰ったら作るゾォ」と息巻いていました。趣味でパンを作る人間としては、
「一次発酵はあんなに寝かせるのねフムフム」
「おお、あのムニムニ……! しゃわりたい」
「でもあんなに大量にこねるのは大変だなあ……ああ見ているだけで肩こりそう」
「毎日ってえらいなあ」
などなど、パン部分はもう完全に違う目線で見ていました。
どうやらこのパンはチベットではパレ/バレと呼ばれているものらしいのですが、ラモツォの地方のアムドのパン(アムドッパレ)は日本語と英語を駆使してググっても作り方が出てこない!
発酵の状態やラモツォの生活環境や習慣から考え、たぶんトスカーナパンに近い作り方なんじゃないかなあと思って、見よう見まねでそれっぽいのを作って見ました。

ジャンッ

ちなみに油引いたのは私が油引いた方が好きだからで、実際は違うかも……。

味もなかなか好評で、バターがよく合う素朴でおいしいパンです。
作り方も難しくなかったしまた作ってみよう。

「ラモツォの亡命ノート」は横浜シネマリンで1月19日まで上映予定とのこと。
家族や愛するパートナーがいる方はお互いの関係を思ういいきっかけにもなる、案外デート向けの映画かもしれません。(違うかったらごめん)
もちろん独身者が見てもとてもいい映画です。
以下映画のちょっとした感想です。


舞台挨拶でも監督がお話しされていましたが、確かにチベットのことは10年くらい前とくらべると全然話題にされなくなってるなあと思います。
でも、話題にされなくなってるからといって問題がなくなっているわけではなく、わたしのような「いろいろよくわかってないんです」という立場の人間は、知ることや耳を傾けること、そして身近なそういった境遇の方と普通に接することが大切なのではないかなとも思います。(この普通ってのがなかなか難しいところですが。)

聞いたところ、チベットの人たちの亡命は1959年から始まったらしく、他国で生まれ育った亡命二世の方はチベットに行ったことのない方もいるそうな。国や民族、文化と個人、土地と故郷……一体それって、どんなものなんでしょう。決まった形や場所はないけど、そこにあるものなのかな。
文化的やアイデンティティ的な面だと、日本から旅立ち日系人たちのことも考えちゃったりもしました。